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マイクロ法人の設立費用の内訳と予算の立て方 — 税理士が教えるお金の準備

マイクロ法人の設立にはいくらかかるのか

ひとり社長がマイクロ法人を設立するために必要な費用は、事業内容や働き方にもよりますが90万〜250万円が一つの目安です。自宅を事務所にして最低限の構成で進めるなら90万円前後に抑えられるケースもありますが、バーチャルオフィスの契約やPC・周辺機器の購入まで含めると100万〜200万円になることが多いです。

店舗型のビジネスと違い、内装工事や高額な専用設備は不要です。その分、法人設立の登記手続きにかかる法定費用と、事業を軌道に乗せるまでの運転資金をどう確保するかが予算のカギになります。

設立費用は大きく「法人設立の法定費用」「オフィス関連費」「設備・備品費」「運転資金」の4つに分かれます。まずは全体像をつかんでおくと、予算を組むときに抜け漏れが減ります。

設立費用の内訳

マイクロ法人の設立資金を項目ごとに整理すると、以下のようになります。

項目金額の目安備考
法人設立の法定費用(定款認証・登録免許税)20万〜25万円合同会社なら約10万円に抑えられる
専門家報酬(司法書士・行政書士への依頼費)5万〜10万円自分で手続きすれば不要
オフィス関連費(バーチャルオフィス初期費用 or 自宅按分)3万〜15万円バーチャルオフィスは月5,000〜15,000円が相場
設備・備品費(PC・モニター・ソフトウェアなど)10万〜40万円すでに持っている場合は現物出資も可能
印鑑・名刺・ドメイン・ウェブサイト3万〜10万円法人実印は最低限必要
運転資金(役員報酬・社会保険料・諸経費の3〜6ヶ月分)50万〜150万円売上が安定するまでの生活費を含む
合計(概算)91万〜250万円

一番大きいのが運転資金で、全体の半分以上を占めます。ここで気をつけたいのが「法人の固定費」と「自分の生活費」の両方を見積もる必要がある点です。法人を設立すると、売上がゼロの月でも社会保険料(健康保険・厚生年金)は発生します。役員報酬を月20万円に設定した場合、社会保険料の会社負担分だけでも月3万円前後かかります。

もう一つ見落としがちなのが、株式会社と合同会社の選択で法定費用が大きく変わる点です。株式会社は定款認証(約5万円)と登録免許税(15万円)で合計約20万円かかりますが、合同会社なら定款認証が不要で登録免許税も6万円のため、法定費用は約6万円で済みます。ひとり社長の場合、合同会社で設立して費用を抑えるケースが増えています。

予算の立て方 — 自己資金と融資のバランス

設立費用のすべてを自己資金でまかなう必要はありません。個人事業の実績がある方なら、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会付き融資を利用する選択肢があります。

ポイントは、自己資金の割合です。融資審査では「開業費用の3割程度を自己資金で用意しているか」が一つの判断材料になります。たとえば、総額150万円の設立を計画するなら、自己資金は50万円程度が目安です。個人事業主として確定申告をしていた方は、その申告書が売上実績の証明になるため、融資審査でも有利に働きます。

予算を組むときの手順を整理します。

  1. 法人形態を決める(株式会社 or 合同会社)
  2. オフィスの形態を決める(自宅・バーチャルオフィス・レンタルオフィス)
  3. 必要な設備をリストアップし、手持ちの資産で使えるものを確認する
  4. 役員報酬の仮の金額を決め、社会保険料を含めた月次の固定費を算出する
  5. 運転資金を固定費の3ヶ月分以上で計算する(できれば6ヶ月分)
  6. 合計額から自己資金を引いた残りが融資の申込額になる

ここで見落としがちなのが運転資金です。法人設立直後は想定どおりに売上が立たないことも多いため、最低3ヶ月分、できれば6ヶ月分の固定費を手元に残しておくと安心です。設立してすぐに資金繰りが苦しくなるケースの多くは、設備投資や法人設立手続きに予算を使いすぎて運転資金が足りなくなることが原因です。

税務面で知っておきたいこと

法人設立時に支払ったお金は、税務上の処理が項目によって異なります。

  • 10万円未満の備品 — 購入した事業年度に全額を損金にできる
  • 10万円以上30万円未満の設備(PCなど) — 中小企業の少額減価償却資産の特例で、取得した事業年度に全額を損金にできる(年間300万円まで)
  • 10万円以上の設備(30万円以上) — 減価償却資産として耐用年数に応じて損金計上する(PCは4年、事務机は15年など)
  • 法人設立のための費用(定款認証・登録免許税・司法書士報酬など) — 創立費として任意のタイミングで損金にできる
  • 設立後、事業開始前に支出した費用(名刺・ウェブサイト制作費など) — 開業費として任意のタイミングで損金にできる

創立費と開業費は「繰延資産」に分類され、利益が出た年度にまとめて損金にすることができます。設立初年度は赤字になることも多いので、黒字になった年度に計上して節税に使うのが定石です。領収書は法人設立前から必ず保管しておいてください。

当事務所のサポート

マイクロ法人の設立準備では、資金計画と法人形態の選択の段階から公認会計士・税理士が関わることで、設立後の税務・社会保険まで一貫した設計ができます。当事務所では、法人形態の選定アドバイス・創業計画書の作成支援・役員報酬のシミュレーション・金融機関との面談同席まで、設立前からトータルでサポートしています。「合同会社と株式会社のどちらがいいか迷っている」「融資を受けるべきか判断がつかない」といったご相談も歓迎です。

ひとり社長の税務、プロに任せてみませんか?

この記事を書いた人

小松 啓

小松 啓

公認会計士・税理士

大分県出身。監査法人・コンサルティング会社・投資ファンドを経て独立。自分自身がひとり事務所の経営者なので、「全部ひとりでやる大変さ」は身にしみてわかります。経理・税務だけでも手放すと、驚くほど本業に集中できるようになります。

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